伝統的な漆喰の倉庫が、現代文化の発信地に!

田中石灰工業の地元高知にも、土佐漆喰を使った歴史ある建造物はたくさんあります。その中でも、昔の雰囲気をそのまま残しながら、その落ち着いた建物の中で現代のアート活動が行われているのが「アートゾーン藁工倉庫(わらこうそうこ)」です。

 

「アートゾーン藁工倉庫」って!?

戦後、高知市を横切る江ノ口川沿いに50棟ほどの漆喰壁の倉庫が建てられました。当時、この地域で盛んだったむしろや縄、俵などの藁(わら)製品を備蓄販売するためのものでした。

時代が過ぎ、ご存じの通り藁製品は使われなくなり、21世紀に入るころには、数棟を残すのみとなっていました。

それらの残された漆喰壁の倉庫を、現代美術ギャラリーを中心とした有志が「高知県の残すべき建物、景観」としてエリアごと借り受け、アートギャラリー、ミュージアム、ヘアーサロン、バー(飲食店)、劇場などとして使われているのが、「アートゾーン藁工倉庫」です。

 

伝統的な漆喰と現代が融合したアートな空間

今回訪れたのは、その「アートゾーン藁工倉庫」の東側のエリアです。

三棟並んだ蔵をアートゾーンの内側から撮影したもの(左)と、南側の外側道路から撮影したもの(右)

 

アートゾーン内の左手にある藁工ミュージアムです。蔵の水切り瓦が、リニューアルで施された入口のデザインに見事に溶け込んでいます。

 

少し時間が経つと、こんな風景に変化しました。ライトアップされた漆喰壁の暖かみの中に、長い年月を経てこその落ち着きが感じられます。

向かって正面の建物が、「土佐バル」というお店でした。ライトアップされていい雰囲気の中で、ワインや土佐あかうしの料理をいただけるようです。

※こちらのお店は9月17日以降、リニューアルに向けて準備中とのことです。

 

劇場の内装には当社の土佐漆喰「純ねり」が使用されています

最後に、今回ダンスの公演があった右奥にある「蛸蔵」。演劇や映画上映にも利用されているようです。

この「蛸蔵」の内装には、当社の土佐漆喰「純ねり」が使用されています。土佐漆喰は発酵ワラスサを使っているため、仕上げた直後はワラスサのアクの黄土色をしており、日光に当たり時間が経つと少しずつ白くなります。

また、土佐漆喰は通常の漆喰に比べて厚塗りであり、それ故に強い雨風にも耐えられるため、高知の気候に非常に適した漆喰です。

 

土佐漆喰の壁に対して暗幕の黒、そして梁や柱の木材のコントラストが素敵です。壁に当たるライトの陰影も、非日常の空間を彩っていました。

昔の建造物の持つ良さを最大限に生かしながら、現代に必要な部分を新たに加え、今もアートに触れる場として生き続けている藁工の蔵でした。「藁工」の名前の由来である、藁を原料にした製品を製造・販売し続けている蔵(会社)もあります。

この「アートゾーン藁工倉庫」は、現存する漆喰の蔵に新しい命を吹き込み生き続ける、漆喰の建物における一つの理想郷でしょうね。

 

[執筆:スタッフF]